あるトランスジェンダーの世界Marion.K

「女」を割り当てられて育ち「男」のように生きているあるトランスジェンダーの内面を記します。

「自己手配」でSRSのコンタクトから予約まで

2023年11月に、アテンド会社を利用せずにタイのヤンヒー病院でSRS(子宮卵巣摘出手術/内摘)を受けました。この記事では、手術の予約を取るまでの私が辿った工程を一つの事例として説明します。患者(クライアント)、病院担当者によって対応が異なると考えられますのでご注意ください。これから手術を受けようと考えている方の参考になれば幸いです。

 

当時の私の状況

タイ語は全く分からない。英語は日常会話がなんとかできる程度。ホルモン療法を8年継続。抗鬱剤を服用中。HIV陰性。新型コロナウイルス陰性。身体障碍無し。

事前のHIV検査、PCR検査はしていなかった。検査は現地で行ったため、事前の検査結果を求められることは無かった。

 

私が辿った手順

  1. チャット・メールでコンタクトを取る・問診表を提出(手術の5週間前)

ヤンヒー病院のホームページを開くと、右下にオンラインチャットが開きます。まずはそこから連絡しました。日本語が使えるか聞いてみたら、通訳者のラインアカウントのQRコードが送られてきました。そこへ連絡してみましたが返事がないので、再度、英語でやりとりすることにしました。(病院には専属の日本語通訳の方がいらっしゃるので、諦めずに「日本語でやり取りしたい」と意思表示を続ければ、日本語でできるのではないかと思います。日本語でやりとりできたという体験談を書かれている方もいらっしゃいます。)子宮卵巣摘出手術について尋ねると、メールでやり取りするのでメールアドレスと名前を送るように言われました。以後メールでやり取りすることになりました。

 

まずメールで次のことが要求されました:

  • 問診表の記入
  • 次の書類の提出
    1. 精神科医の紹介状(GIDの診断、男性として1年以上問題なく暮らしていることが記載されているもの)
    2. 1年以上ホルモン投与を行い医師のチェックを受けていることを示す証書

問診表1

問診表2

問診表



問診票にパスポート番号を記入するところがあります。この時点で私は有効なパスポートをまだ持っていませんでした。また、紹介状の入手には1万円かかるので、手術を受けられることが確定してから入手するつもりでいました。そして、ホルモン投与を1年以上続けていることの証書といっても、定期的に血中テストステロン値をモニターしているわけではないので提出するものがありません。検査するならまた結構お金がかかるので、するなら手術確定後にしたい。困った、ということで、事情を次の内容を英語でメールに書き、問診票は記入できるところだけ記入して送りました。

「2023年11月に手術を受けることは可能ですか。私のパスポートは来週発行されます。多額のお金がかかるので、精神科医の紹介状とホルモン投与歴の証明は、手術が受けられることが確定してから入手します。私が請求すれば1か月以内に入手できるはずです。」

その結果、「2023年11月に手術を受けることは可能」「医師から問診票のフィードバックを追って連絡する」という内容のメールが10月1日に返ってきました。手術希望日の2か月前に連絡すれば十分予約は取れるようです。

 

  1. パスポート・英文の診断書・ホルモン注射歴を示す文書を入手

 

パスポートを入手して、問診票に記入していなかったパスポート番号をメールで連絡しました。

11月に手術が受けられるということが確かめられたので、紹介状を入手しました。紹介状の中で、私が8年以上ホルモン療法を続けていることにも言及するように担当医師にお願いしました。(私はかかりつけの医師がGID専門医であり、そこでホルモン療法を受けています。通院は1年未満でしたが、これまで別の病院でホルモン投与を続けてきたことを説明しました。)念のため、それが求められた「1年以上ホルモン投与を行い医師のチェックを受けていることを示す証書」として有効であるかヤンヒー病院に問い合わせたところ、有効だということでした。

紹介状をPDFにしてメールで送りました。

10月6日に、手術の詳細が送られてきました。執刀医、手術の内容(Traditional Hysterectomy (TAHBSO))、料金(96,000 THB)、入院期間(4泊)、タイ滞在推奨期間(7-10日)、リスクと合併症、注意事項が書かれています。手術の1カ月前以降にホルモン注射をしてはいけないこと、服薬を止めること、酒とたばこは一生やめることなども書かれています。(手術の後に改めて聞いた注意では、手術後1カ月は酒を控えるように、とだけ。一生飲めなくなるわけじゃない。良かった。)

手術詳細を書いた表

手術詳細

 

  1. 手術日の希望を伝える

既に提出した問診表には11月の中頃の日付を適当に書きましたが、2.で手術後の滞在日数を10日とれば十分と分かったので、航空券代の安い日を計算して、改めて手術希望日を連絡しました。やりとりはこんな感じ。

私「11月8日に手術を受けたいです」

病院「手術前の診察のために11月6日か7日に来られますか。そうすれば11月8日に執刀医と面談の上、手術その他の日程を確定します。」

この後一度、メールでやり取りしていた病院スタッフから電話が来ました。突然国際電話が来たので驚きました。英語で話してくれましたが、全然聞き取れず、メールで連絡してくださいと言って切りました。

その後またメールでやりとり。

私「電話でうまく話せず申し訳ありません。6日でも7日でも行けますが、どちらが都合が良いですか」

病院「7日に精神科医一人と面談、8日に精神科医もう一人と、執刀医と面談、9日に手術でどうですか」

 

  1. 服薬歴、各薬の詳細を連絡

ここで服用中の薬についても尋ねられました。

病院「問診表に書かれていた服用中の薬について、服用の理由と量を教えてください」

私「服用中の薬の詳細です。(抗鬱剤、その副作用止め、睡眠導入剤について説明)」

病院「情報をありがとうございます。またすぐ連絡差し上げます」

 

  1. 手術日確定連絡を受ける(手術の4週間前)

次の日、手術の詳細が表にまとめられて送られてきました。

手術詳細の表1

手術詳細の表2

手術詳細の表



本文には他に、

  • 病院に精神科医の紹介状と「1年以上ホルモン投与を行い医師のチェックを受けていることを示す証書」の原本を持ってくること
  • 病院に着いたら、このメールを印刷したものとパスポートとワクチン接種証明書(もしあれば)を持ってインターナショナルカウンターに来ること
  • このメールを受け取ったらその旨を連絡すること
  • もし問題や指定日に来られないなどの事情があればできるだけ早く連絡すること

が書かれていました。

メールの内容を確認したことを連絡し、予約確定です。

 

支払いはクレジットカードで支払うつもりでしたので、念のため使えるか最後に聞きました。VISA、MasterCard、JCBなどが使えるそうです。また、日本円も使えるそうですが、書き込みや(不必要な?)折り目があると使えないとのことです。

使えるカードのアイコンの写真。VISA, MasterCard, JCBなど

使えるカード



 

以上が、予約を取るまで私が経験した手続きです。担当者、予約時期によって対応が違うと思いますが、具体的なイメージをするのに役立てていただければ嬉しいです。